治療の遅れで脳梗塞の後遺症が残った?医療訴訟を起こそうとした話

治療の遅れで脳梗塞の後遺症が残った?医療訴訟を起こそうとした話

最終的に医療訴訟は起こしていないのですが、医療訴訟を起こそうとした経緯をまとめておきます。

医療訴訟を起こそうとした経緯

医者の叔父が医療ミスだから病院に抗議しろと激怒する

2017年07月11日

父が救急車で運ばれた日から、母は「こんなおかしなことはない!」とずっと怒っていました。もちろん、父の前では黙っていましたが、私と二人でいる時はずっと納得いかない様子でした。

単刀直入に言うと、脳梗塞発症後1時間以内に病院に到着しているのに、なぜt-PA治療が受けられなかったのか?もっと早く処置していれば父の後遺症は残らなかったのではないか?ということです。

下記は実際に父が救急車で搬送されてからの病院の対応になります。

07月09日 23:20 父が倒れる
07月09日 23:55 救急車で病院到着
07月10日 00:08 病院受入(回転性めまい・歩行不能・発汗)
07月10日 00:20 CT検査
07月10日 01:14 MRI検査
07月10日 02:00 脳梗塞と診断される
07月10日 03:00 担当医が到着するがt-PA治療を断られる

赤字はカルテ開示による正確な時間。

父の見舞いの帰り、医療知識のない私と二人で話し合っても解決しないので、母は叔父(母の兄で小児科医)に電話で相談することにしました。すると、病院の対応を聞いた叔父さんは、「そんな馬鹿な話はない!完全に医療ミスだ!対応がふざけている!絶対に納得するな!」と言いました。

この言葉を聞いて、私と母は今回の件が医療ミスだったと思い込む様になりました。

同時に、医療ミスで父に後遺症が残ったのだと思うと、やりきれない気持ちでいっぱいでした。

ただ、医療知識のない私達には、何が医療ミス・医療過誤にあたるのかが分かりません。病院になんて伝えればいいのか分かりません。そのことを叔父に伝えると、叔父が直接主治医と話しをしてくれることになりました。そして、私達は余計なことを言わない様に言われました。

現役の医者が医療ミスと言うのだから間違いない。医者が話をつけてくれるのだから丸く収まるに違ない。この時の私は、叔父さんにまかせておけば大丈夫だと安心しきっていました。

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2017.07.20

主治医から救急車で搬送された日の対応について説明される

2017年07月12日

この日、主治医が父の病室を訪れ、救急車で搬送された日の対応について説明がありました。

見舞いに行く前に、医者の叔父が主治医に電話で抗議したからです。

話はこじれていた様ですが・・・。

主治医の話では、「めまいで搬送されてきたとしか聞いていない。自分が呼ばれたのは2時頃だった。MRIの検査結果で脳梗塞と判断されたが、後遺症が残る場所ではなかったため緊急性はなかった。時間ぎりぎりで出血の恐れもあったため、t-PA治療はできなかった。上の者にも確認して同意の上での判断だった。出血した時に対応できる準備も整っていなかった。夜中でスタッフも足りていなかった。到着が遅れて不安にさせたことは本当に申し訳ないが、もし仮に自分がもっと早く到着していたとしても、t-PA治療はできなかった。」とのことです。

つまり、医療ミスではないよ。ということでした。

言い訳をしている様にしか聞こえませんでしたが、私は何も言い返すことができませんでした。また、ここから先は素人の私達が口を出しても無駄だと判断し、叔父に任せることにしました。

医事課でカルテ開示の申請と消防署で活動記録の開示手続きをする

2017年07月13日

主治医に説明されたことを叔父に伝えると、叔父は大激怒しました。

そして翌日、叔父が神経内科の部長に今回の処置について電話で抗議すると、部長は「今回はt-PA治療を行うべきだった。」と答えたそうです。

何も知らない私は、この時点で病院側が医療ミスを認め、父の後遺症に対して慰謝料を払ってくれるものだと勘違いしていました。もちろん、そんな簡単に解決できる話ではありません。

叔父は、「裁判を起こさなければ、病院が高額な慰謝料を払うなんてことはまずない。このままだと病院代がただになる程度、良くて見舞金を数万手渡されて終わりだ。後々困るのは自分達だ。医療訴訟を起こして損害賠償を請求しなさい。」と言いました。

また、叔父は母の話で全て判断しており、主治医の話と少し食い違いがあることを指摘し、事実確認のため「病院でカルテ開示をしてもらい、消防署で活動記録を貰ってほしい。」と言いました。

カルテからは、検査を受けた時間、MRIの画像等、当日の診療録が分かるそうです。また、活動記録からは、救急車で病院に搬送された時に、消防隊が病院に伝えた症状が記載されているそうです。

裁判のことなど全く分からない私と母は、とにかく叔父の言う通りにしました。

ただ、医事課ではカルテ開示に2~3週間かかると言われ、消防署の活動記録は申請から15日以内に公開すると言われました。どちらも時間がかかるとのことです。

正直、父のことだけでいっぱいいっぱなのに、裁判のことまで考えると、頭がパンクしそうでした。

カルテ開示請求にかかる料金と期間!医療訴訟を考えているなら弁護士に相談すべき

2017.08.04

神経内科の部長から救急車で搬送された日の対応について説明される

2017年07月15日

先日、叔父が部長に抗議したからだと思いますが、この日、私と母はナースステーションに呼ばれ、父が搬送された日の対応について部長から説明を受けました。

叔父の話では、部長は「t-PA治療を行うべきだった。」と言っており、父が病院に搬送された日の対応には問題があったことを認めています。だから、私はナースステーションに向う時、部長から直接謝罪があるのだと思っていました。

私と母は、2代のモニターが置かれているテーブルに案内され、部長がモニターにカルテ、CT画像、MRI画像を映して、説明を始めます。

この時の部長は気だるそうで、面倒くさそうに話していたのを覚えています。とりあえず、謝罪される様な雰囲気ではないことだけはすぐに分かりました。

部長は、「主治医は2時に連絡を受けて、めまいとしか聞いていないと言っている。判断についてはまだ分からないが、主治医は他の病院で100件近くのt-PA治療の経験がある。連絡を受けてからだいぶ時間がかかっているが、この日も昼から普通に仕事があった。上と同意でt-PA治療を行わなかったことについては、私は連絡を受けていない。とりあえず、今の時点では話が食い違っていて私にも判断ができない。19日に院長を含めて会議をするから、納得いかないことがあれば19日までに書面にまとめて提出してほしい。そのことも含め関係者で話合うから。」と言いました。

ところどころで主治医をかばう様な発言が混じっていたと思います。

他にも、CT画像を見て「CTでは脳梗塞とは分からない。」、MRI画像を見て「ここに脳梗塞があるのが分かるね。」等、説明してくれましたが、画像を見ても私にはほとんど理解できませんでした。

結局、今回の対応は仕方なかったで済まされることなのか?医療ミス・医療過誤なのか?私には分かりませんでしたが、面倒なことになっていることだけは分かりました。

医者の叔父に書いてもらった申立書を病院に提出する

2017年07月18日

先日、神経内科の部長に、「関係者で会議を開くから納得できない部分があれば書面にまとめて提出してほしい。」と言われたことを叔父に伝えたら、叔父が申立書を書いてくれました。

申立書の内容を分かりやすくまとめると、下記の様な主張です。

叔父の主張
  • 今回の対応を見る限り、夜間は脳梗塞患者を受け入れる態勢にある病院とは言い難い。
  • CT結果で脳出血でないと判明した時点で、神経内科医に連絡するのが当然ですがされていない。というより、この時点でMRI検査機を立ち上げるようでは超高齢者以外の脳梗塞患者を見れる病院とは言えず、直ちに、t-PA治療の態勢の整った病院に救急転送される必要があったのではないか。
  • 脳梗塞と診断されてから主治医が到着するまでに1時間もかかっており、この時、主治医は「めまいとしか聞いていない」と言っている。あまりにも対応が杜撰すぎるのではないか。
  • 担当医の来院に1時間もかかるのなら、連絡を受けた時点で態勢の整った病院に救急転送するべきだったのではないか。
  • 主治医はMRI検査で脳梗塞所見はあったが左脚麻痺に相当する所見がないことで、t-PA治療は不要と説明されたが、脳梗塞のごく早い段階ではMRIの特に早く所見の出る画像法でも所見は出難くい。はっきり麻痺があり、意識障害や既往歴もなく、60歳代であればt-PAの適応と判断するべきではないのか。
  • 主治医は発症から時間が経っているから(発症後3時間半経過している)危険でt-PA治療は実施できないと一方的に断言されたが、危険率等を説明し、家族に選択肢を聞くべきだったのではないか。
  • 先日電話を頂いた時、部長はカルテを見て、t-PA治療の適応であったことと、家族に説明して選択を聞くべきだったことを認め、こちらの主張に同意されている。

回答は後日書面でもらうことになっています。

この時の私は、ただただ面倒なことにだけはならないでほしいと願っていました。

弁護士事務所に脳梗塞の医療訴訟について電話で相談する

2017年07月21日

今まで叔父に頼りっぱなしだったのですが、ネットの情報や母の知り合いの医療関係者の話を聞くと、医療裁判が難しいことを知り、医療事故・医療過誤に強い弁護士に相談することにしました。

参考:医療事故・医療過誤・医療ミスは医学博士弁護士に法律相談! | 弁護士法人ALG&Associates

叔父は医者ですが、医療訴訟の経験はなかったからです。

本来、弁護士相談になると1時間10,800円かかると言われたのですが、無料の電話相談でも下記のことを教えてもらえました。私にとっては十分すぎる情報です。

医療訴訟について
  • 脳梗塞の後遺症で訴訟を起こす場合、主治医から症状固定の診断を出してもらい(最短でも6ヵ月後)、そこで受けた後遺障害等級認定で損害賠償額が決まる。
  • 基本的に症状固定の診断が出るまで、請求できる損害賠償額が決まらないので、訴状を送ることができない。つまり、裁判を起こせない。
  • 詳しいことは教えてもらえませんでしたが、一番低い後遺障害等級認定14級で60~70万円の損害賠償額の請求ができる(自動車事故で調べるとネットに情報が出てきます)。
  • 調査費用で60万円、裁判になれば100万円、報酬等を含めると、医療訴訟には最低でも200万円はかかる(調査の結果次第で裁判を起こすかどうか決める)。
  • 損害賠償請求額が200万円を超えなければ、勝っても赤字になるので裁判は起こさない方が良い。
  • 症状固定の診断が出てから(6ヵ月後)検討しても遅くはない。

とりあえず、現段階で私達が動く必要はない。父のリハビリが終わり、後遺症がひどければその時は弁護士に相談する。ということで私と母の意見はまとまりました。

裁判のことを考えなくてすむと思ったら、凄く気が楽になりました。

これで父のリハビリに専念できます。

今までいろいろ力になってくれた叔父には感謝していますが、私達のカルテ開示請求や病院への申立は、裁判を起こす上では不利になる行動だったのだと思います。

父が搬送された日の処置についての回答を書面で頂き医療訴訟を諦める

2017年07月27日

この日は、以前叔父に書いてもらった申立書の回答を書面で頂きました。

正直、私には医療のことなどさっぱり分かりません。ただ、医者である叔父が激怒するぐらいですから、今回父が搬送された日の対応は、少なからず医療過誤にあたるのだと思っています。

ところが、病院側の回答には「搬送された時に撮影したMRI画像から、右頭頂葉に高信号域が認められ、この高信号域は脳梗塞と診断されますが、FLAIRE画像で脳梗塞が確認できる様になるには、脳梗塞を発症してから6時間程度かかることから、MRIを撮影した6時間前には既に脳梗塞があったと考えられます。今回入院のきっかけとなった大きな発作の前に、小さな血栓が心臓から流出し無症候の梗塞をおこしていたと思われます。t-PA製剤の添付文書には発症4.5時間以内の薬剤投与とともに、禁忌事項の一つとして、脳梗塞の既往のある患者(3ヶ月以内)という項目があり、今回この禁忌事項に当てはまるためt-PAの適用ではありませんでした。」と書かれていました(一部省略しています)。

分かりやすく言うと、「症状が出ていなかっただけで、病院に搬送された4時間半前には別の部位で脳梗塞が発症していました。患者は病院に搬送された時点で、t-PA治療の禁忌事項に該当していたため、t-PA治療の適用ではなかった。」ということです。

今までこんな説明は一切されていません。完全に後付けです。

神経内科の部長も「後付けで申し訳ないけど・・・。」と何度も言っていました。

恐らく、裁判になれば、別の部位で脳梗塞が発症していたことを否定できない限り、叔父の申し立ては全く意味をなさないのでしょう。治療の遅れで後遺症が残ったという因果関係がなくなってしまうからです。元々、t-PAの適用ではなかったと言われてしまったのですから・・・。

私と母は医療訴訟を諦めましたが、結果的に良かったと思っています。そして、これでようやく父の見舞いやリハビリに専念できると思うとほっとしました。

最後に

私は途中で諦めましたが、どうしても医療訴訟を起こしたいのであれば、必ず弁護士に相談して下さい。私の様に素人が勝手に行動すれば、裁判で不利になる可能性もでてきます。

ただ、私はもう2度この様な経験はしたくありません。

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2 件のコメント

  • お疲れ様でした。本当に大変でしたね。
    最近、私も家族が大ケガで入院し手術を10回以上もする事になりました。
    医者の手術や治療の説明を何度も聞きました。
    が、素人が理解するのは非常に難しいと思いました(スマホで説明を録音して繰り返し聞いても)

    ましてや裁判ともなると、ネットで調べたくらいでは
    分からない事ばかりですよね。

    手術後に家族の頭に血の塊が付いていたり(結構な量の血),
    傷口を縫った後の謎の糸?が残っていたり、
    感染症に注意しろといいながら(消毒液を切らしていたり、1日2日ならともかく、2週間くらい補充されなかった)
    感染症は下手をすると、片腕を切り落とす必要が出てくるので…
    病院側の措置が正しいのか怪しんだのを
    思い出しました。

    でもこちらは素人なので正しい処置のやり方なのかとか
    全然わからないですよね…

    何にせよお疲れ様でした。

    • オレオレさんも大変な思いをされたのですね。

      内容を見る限りでは、杜撰な対応にみえますが、素人では判断できませんよね。医療関係者でもない限り、医者の対応を疑うことはないでしょうし、裁判になれば医療裁判に詳しい弁護士でないと分かりません。また、裁判はすぐ終わる訳ではないですし、200万前後の費用がかかるので、200万以上の慰謝料を請求できる医療ミス・医療過誤でなければいけません。当然、病院側にも弁護士がついていますから、勝てるかどうかも分かりません。

      裁判にかかる時間と費用、そして精神的苦痛を考えると、医療裁判は難しいと感じます。

      どうしても裁判を起こしたいのであれば、医療裁判に詳しい弁護士に相談するのが一番なのですが、できればこの様な経験はもうしたくありません。

      とにかくオレオレさんの家族の方がご無事で何よりです。

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